【昭和犯罪史】1975年10月〜12月:「3億円」の時効と、仁義なき「大阪戦争」の勃発

国内殺人事件簿

こんにちは、しらちごです。 今回は、昭和50年(1975年)の第4四半期(10月〜12月)に日本国内で発生した事件を振り返ります。

この年の冬は、日本警察にとって「屈辱」の季節でした。 延べ17万人もの捜査員を動員した「3億円事件」が、ついに犯人を捕まえられぬまま時効を迎えたのです。 その一方で、関西ではヤクザ同士の抗争が「戦争」と呼べる規模にまで拡大し、路上での銃撃戦が日常化しつつありました。法の限界と、暴力の暴走。1975年の暮れは、重苦しい空気に包まれていました。

1975年10月〜12月 日本凶悪殺人事件ファイル

1. 「大阪戦争」日本橋事件(路上での銃撃処刑)

  • 発生日: 1975年10月2日
  • 場所: 大阪府大阪市浪速区(日本橋)
  • 概要: 山口組と松田組による大規模抗争、通称「大阪戦争」の発端となった事件から数ヶ月後、報復が最も激化したのがこの時期です。 10月2日、松田組系組員3人が乗った車が、山口組系組員に襲撃されました。白昼の路上で、改造拳銃による銃撃が行われ、松田組側の2人が即死、1人が重傷を負いました。 この事件は、一般市民が行き交う電気街の近くで行われた「公開処刑」のような犯行であり、抗争が従来の「脅し」のレベルを超え、相手の生命を確実に奪う(ターミネートする)段階に入ったことを示しました。

2. 岐阜・5歳女児誘拐殺人事件

  • 発生日: 1975年11月8日
  • 場所: 岐阜県岐阜市
  • 概要: 幼稚園からの帰宅途中だった5歳の女児が行方不明となり、翌日、揖斐川の堤防で遺体となって発見された事件。 犯人は近所に住む43歳の男で、身代金目的ではなく、性的な動機を含むわいせつ目的での犯行でした。 男は女児を車で連れ去り、騒がれたために首を絞めて殺害しました。幼い命が、大人の歪んだ欲望の犠牲となった、極めて卑劣で痛ましい事件です。

3. 3億円事件・公訴時効成立(完全犯罪の完成)

  • 日付: 1975年12月10日午前0時
  • 場所: 東京都(捜査本部解散)
  • 概要: 1968年に発生した現金輸送車強奪事件の公訴時効が成立しました。 「モンタージュ写真の男」は最後まで特定されず、奪われた3億円(現在の価値で数十億円)と犯人は闇に消えました。 殺人事件ではありませんが、警察の威信失墜は、その後の犯罪者たちに「警察は万能ではない」「逃げ切れる」という誤った学習(強化学習)を与え、模倣犯や劇場型犯罪の増加に繋がる社会的な「殺人」とも言える出来事でした。

4. コインロッカー嬰児遺棄の急増(冬の悲劇)

  • 発生時期: 1975年12月
  • 場所: 全国の主要駅
  • 概要: 夏場から社会問題化していたコインロッカーへの嬰児遺棄が、寒さが厳しくなる年末にピークを迎えました。 年末の慌ただしさの中で、生後間もない赤ん坊がロッカーに「保管」され、そのまま凍死・餓死するというケースが相次ぎました。 ロッカーという無機質な箱が、現代の「口減らし」の場となったこの現象は、高度経済成長の影で進行していた核家族化と、育児孤立の深刻な病理を映し出していました

5. 松山・ホステス殺害事件(福田和子の逃亡開始前夜)

  • 背景: この時期、愛媛県松山市では後の「7つの顔を持つ女」こと福田和子が、生活に行き詰まりを感じていた時期にあたります(実際の殺害事件は1982年ですが、その前段階としての社会的・経済的背景がこの頃から醸成されていました)。 1975年末は、地方都市の歓楽街においても、不況の影響で金銭トラブルに起因する傷害・殺人事件が散見されました。

姉妹探偵の事件考察

登場人物

  • 榎本 佳穂(えのもと かほ): 英国UCLで犯罪科学の博士号を取得した天才探偵。IQ240。冷徹なプロファイリングを得意とする。
  • 榎本 彩心(えのもと いろは): 佳穂の妹で助手。東大法学部在学中。高い共感能力(エンパス)を持つ。

1 姉(佳穂)のプロファイリング

「……1975年の冬。この時期のキーワードは『権威の失墜』『暴力の拡散』ね。 特に『大阪戦争』における日本橋の銃撃事件。これは組織犯罪(オーガナイズド・クライム)における『エスカレーション(激化)』の典型例よ。 当初は利権争いだったものが、報復の連鎖によって『殺すこと』自体が目的化(オートテリック化)している。路上で拳銃を乱射する心理は、一般市民への巻き添えを考慮しない極度の興奮状態と、組織への過剰な忠誠心が個人の良心を麻痺させている証拠だわ」

2 妹(彩心)の質問

「街中で銃撃戦なんて、映画の中の話みたいで怖いよ……。 それに、岐阜の女の子の事件。5歳の子を襲うなんて、どういう神経してるの? あと、3億円事件の犯人が逃げ切っちゃったのも悔しい。犯人は今頃、どんな気持ちでニュースを見ていたのかな?」

3 姉(佳穂)の回答

「3億円事件の犯人(アンサブ)について言えば、彼は時効の瞬間、強烈な『全能感(Omnipotence)』と、同時に虚無感を感じていたはずよ。 国家権力を7年間欺き続けたという事実は、彼にとって金以上の報酬(リワード)だったでしょうね。 一方、岐阜の事件やコインロッカーの件は、対照的に『弱者への支配』ね。 抵抗できない子供や赤ん坊を標的にするのは、社会的な劣等感やストレスを、最も安易な方法で解消しようとする『置き換え(Displacement)』の心理が働いている。卑劣で、救いようのない動機よ」

4 妹(彩心)の感想

「……強い警察を笑う犯人と、弱い子供をいじめる犯人。どっちも許せないけど、やっぱり子供が犠牲になる事件は辛すぎるよ。 ロッカーに入れられた赤ちゃんたち、寒かっただろうな……。 1975年の冬って、なんだかすごく冷たくて、暗い季節だったんだね。 せめて、これからの未来が少しでも暖かくなるといいなって、願わずにはいられないよ」


本記事は、過去の報道や公開資料を基に作成しておりますが、一部に筆者の主観的な推測や解釈が含まれます。事実関係の正確性を完全に保証するものではありません。 また、記事内の「姉妹探偵の事件考察」は、自作小説のキャラクターによるフィクションの演出です。あくまで一つの視点・エンターテインメントとしてお読みください。

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