【日本犯罪史】1975年春、狂気の「内ゲバ」と連続爆破の嵐 —— 砕かれた頭蓋骨、冤罪のメッタ刺し、そしてUFO

国内殺人事件簿

1975年(昭和50年)の春。 日本は高度経済成長の祭りの後、オイルショックの不況と、極左暴力集団による「テロルの季節」の真っ只中にありました。

この年の1月から3月にかけては、個人の怨恨を超えた組織による冷酷な殺戮、ダイナマイトによる籠城、そして後に「冤罪」と判明する凄惨なメッタ刺し事件が立て続けに発生しました。 社会全体がピリピリと張り詰めていた、昭和50年の凶悪事件簿を振り返ります。


1975年1月~3月 日本事件ファイル

1. 「金嬉老」模倣・ダイナマイト人質事件

  • 発生日: 2月20日
  • 場所: 静岡県清水市(現・静岡市)
  • 概要: 1968年の「金嬉老事件」を彷彿とさせる、爆薬と銃を用いた凶悪事件です。 建設会社社長への恨みを抱いた男(当時45歳)が、ライフル銃で社長の弟ら2名を射殺。さらに、ライフルとダイナマイトで武装し、会社の事務所に立てこもりました。 犯人はダイナマイトを体に巻き付け、警察とにらみ合いを続けましたが、最後は突入により逮捕されました。一般市民が銃と爆薬で武装し、殺人を犯して立てこもるという、昭和ならではの荒々しい凶行でした。 【銃社会】【立てこもり】【爆発物】

2. 甲府事件(UFO遭遇事件)

  • 発生日: 2月23日
  • 場所: 山梨県甲府市
  • 概要: 殺人事件ではありませんが、殺伐としたニュースが続く中、日本中を震撼させた「怪事件」です。 甲府市のブドウ畑で、小学生2人が「空飛ぶ円盤」と「宇宙人」に遭遇したと証言。児童の一人は宇宙人に肩を叩かれ、恐怖で一時的に話せなくなったとされます。 現地調査では放射能が検出されたという報道もあり、この時期の不安定な社会情勢を象徴するかのようなオカルト・ミステリーとして記録されています。 【ミステリー】【怪事件】

3. 「間組」本社・工場同時爆破事件

  • 発生日: 2月28日
  • 場所: 東京都港区(本社)、埼玉県川口市(工場)
  • 概要: 前年の三菱重工爆破事件(死者8名)を引き起こした「東アジア反日武装戦線」による連続企業爆破事件の一つ。 この日は、ゼネコン大手「間組(ハザマ)」の本社ビルと、埼玉県の工場が同時に爆破されました。 本社ビルでは3階と9階に仕掛けられた時限爆弾が爆発し、5人が負傷。工場では更衣室などが吹き飛びました。 「大地の牙」や「さそり」といった部隊名を名乗る彼らは、この時期、毎月のように大企業を標的にし、日本中を「いつどこが爆発するか分からない」という恐怖のどん底に陥れていました。 【テロ】【連続爆破】【凶悪】

4. 弘前大教授夫人殺害事件(冤罪の疑い)

  • 発生日: 3月6日
  • 場所: 青森県弘前市
  • 概要: 弘前大学教授の妻(当時48歳)が、自宅のベッドで全身22箇所もめった刺しにされ殺害された猟奇的な事件です。 犯行の手口は執拗で、首や胸を集中的に刺すという強い殺意(または異常性)が見られました。 事件から約1年後、警察は夫である教授を逮捕。彼は無実を訴え続けましたが、懲役15年が確定し服役しました。 しかし、事件から20年以上経った後、真犯人が名乗り出たことやDNA鑑定によって**「冤罪」**が確定。夫は再審無罪となりましたが、失われた時間は戻りませんでした。 「誰が彼女を22回も刺したのか?」という当初の謎よりも、警察が見込み捜査で無実の人間を犯人に仕立て上げた「捜査の闇」の方が恐ろしい事件です。 【残酷】【冤罪】【メッタ刺し】

5. 中核派書記長・本多延嘉殺害事件

  • 発生日: 3月14日
  • 場所: 埼玉県川口市
  • 概要: 新左翼党派「中核派」の最高指導者であった本多延嘉(当時41歳)が、対立する「革マル派」の襲撃部隊によって惨殺された事件です。 早朝、川口市のアパートに潜伏していた本多の部屋に、革マル派のメンバー数人が乱入。就寝中だった本多を、鉄パイプやハンマーで滅多打ちにし、頭蓋骨を粉砕して殺害しました。 この事件は、当時の「内ゲバ」がいかに常軌を逸した残虐性を持っていたかを象徴しています。思想の違いだけで、相手の人間性を否定し、顔の判別がつかなくなるまで破壊するという手口は、まさに「猟奇」そのものでした。 【内ゲバ】【撲殺】【猟奇】

まとめ

1975年の春は、**「見えない爆弾魔」「隣人を殺す活動家」**の恐怖が支配していました。

特に3月の中核派書記長殺害事件は、日本の新左翼運動史における最大の衝撃の一つであり、その後の報復合戦で多くの若者の命が奪われる引き金となりました。 また、弘前の冤罪事件のように、警察の焦りが無実の人間の人生を狂わせる悲劇も起きています。

「正義」を掲げながらハンマーを振り下ろす活動家と、「正義」の名の下に見込み捜査を行う警察。 どちらも形を変えた「狂気」だったのかもしれません。

次回は、1975年4月~6月。 ついに「東アジア反日武装戦線」が一斉検挙され、連続企業爆破事件が終結を迎える瞬間。そして、内ゲバの嵐がさらに激化する初夏の事件を追います。


(姉妹探偵のメモ)

【姉・佳穂の分析メモ】 「弘前の事件……22箇所もの刺し傷は、プロファイリングでは『オーバーキル(過剰殺傷)』よ。これは犯人が強い興奮状態、あるいは被害者に対して個人的な激しい憎悪を持っていた証拠。冷静な夫の犯行とするには無理がありすぎるわ。 そして中核派の事件も同じ。『顔を破壊する』という行為は、相手のアイデンティティを抹消したいという強烈な否定の表れ。思想という名のウイルスが、ここまで人間を残虐にさせるのね」

【妹・彩心の感想】 「爆弾も怖いけど、同じ人間同士で殺し合うのが一番怖いよ……。それに弘前の事件、もし旦那さんが無実で捕まらなかったら、奥さんを殺した真犯人はずっと近くにいたってことでしょ? 冤罪って、無実の人を苦しめるだけじゃなくて、本当の犯人を逃がしてしまうことでもあるんだね。やるせないよ」


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