こんにちは、ブログ「しらちご」専属ライターです。 今回は1976年(昭和51年)の第1四半期を振り返ります。
この時期の日本は、戦後最大の疑獄「ロッキード事件」の発覚により、政治とカネの闇が白日の下に晒されたタイミングでした。国会中継に国民の目が釘付けになる一方で、その社会不安に呼応するかのように、テロリズムや狂気的な行動が「爆発」した季節でもあります。 ポルノ俳優による特攻、企業幹部の不審死、そして無差別爆破。 昭和の膿が一気に噴出した、1976年春の事件ファイルをご覧ください。
1976年1月〜3月 日本・重要犯罪リスト
1. 日商岩井常務・島田三敬 転落死(ロッキード事件)
- 発生日時: 1976年2月2日
- 事件名: ロッキード事件・重要参考人変死事件
- 場所: 東京都
- 死者: 島田三敬(日商岩井常務)
- 概要: ロッキード事件の捜査が本格化する中、疑惑の核心にいた日商岩井(現・双日)の常務・島田三敬が、東京地検特捜部の事情聴取中に「心臓発作」などを理由に中断した後、自社ビルから転落死した。「発作的に窓から飛び降りた」として自殺処理されたが、遺書には「会社のために」という趣旨の言葉が残されていた。
- プロファイリング要素(組織犯罪の論理): 【トカゲの尻尾切り】 典型的な「組織防衛型自殺」とされるが、権力構造の闇が深すぎるため他殺説も消えない。彼の死により、グラマン社製航空機導入を巡る疑惑のルート(海部八郎らが関与)の一部が永久に闇に葬られた。個人の生存本能さえも上書きする、「カイシャ」という共同体の恐るべき洗脳圧力が窺える。
2. 北海道庁爆破事件
- 発生日時: 1976年3月2日 午前9時頃
- 事件名: 北海道庁爆破事件
- 犯人: 「東アジア反日武装戦線」を名乗る犯行声明(後に大森勝久が逮捕・死刑確定するが、冤罪を主張し再審請求中)
- 被害者: 死亡2名、重軽傷者95名
- 概要: 札幌市の北海道庁本庁舎1階ロビーで時限爆弾が炸裂。出勤・来庁していた市民や職員が巻き込まれた。犯行声明には「アイヌモシリ(北海道)を植民地支配する日本帝国の象徴」への攻撃であると記されていた。この事件は、前年の三菱重工爆破事件などに続く「反日ネットワーク」による無差別テロの系譜に連なる。
- プロファイリング要素(思想犯): 【顔のない憎悪】 特定の個人ではなく、「システム」や「象徴」を殺害しようとするテロリズム。しかし、実際に引き裂かれるのは無関係な市民の肉体である。イデオロギーのために他者の痛みを捨象する、極めて高い精神的乖離(Dissociation)が見られる。
3. 児玉誉士夫邸セスナ機特攻事件
- 発生日時: 1976年3月23日 午前9時50分頃
- 事件名: 児玉誉士夫邸セスナ機自爆テロ
- 犯人: 前野光保(29歳 / 俳優)
- 被害者: なし(犯人のみ死亡、家政婦が負傷)
- 概要: 日活ロマンポルノなどに出演していた俳優・前野光保が、調布飛行場から小型機(パイパー・チェロキー)で飛び立ち、ロッキード事件の黒幕・児玉誉士夫の私邸(世田谷区)に突入・自爆した。 前野は第二次大戦の神風特攻隊の軍服を身に纏い、最期に無線で「天皇陛下万歳」と叫んでいた。動機は、右翼思想の信奉者として、巨悪・児玉が愛国者を騙りながら私腹を肥やしたことへの義憤であったとされる。
- プロファイリング要素(劇場型自殺): 【最後のカミカゼ】 「ポルノ男優」と「特攻隊」という、聖俗が極端に混在したアイデンティティを持つ犯人による自己演出型の死。彼は自らの命を弾丸に変えることで、腐敗した権力(児玉)を浄化し、同時に自らの人生を「英雄的な物語」として完結させようとした。ナルシシズムと政治的絶望が融合した、稀有な「私的制裁」である。
4. 能代市カトリック神父殺害事件
- 発生日時: 1976年3月26日(遺体発見)
- 事件名: 能代教会神父殺害事件
- 場所: 秋田県能代市
- 被害者: カトリック教会の外国人神父
- 概要: 静かな地方都市の教会で、外国人神父が何者かに殺害されているのが発見された。物証が乏しく、捜査は難航。宗教施設という閉鎖空間(サンクチュアリ)で起きた凶行は、地域社会に得体の知れない恐怖を与えた。
- プロファイリング要素(未解決): 【聖域の冒涜】 教会という場所は、心理的に犯人にとってのハードルが高いはずである。それを乗り越えて犯行に及んだ点から、犯人は信仰心を持たない部外者か、あるいは神父に対して極めて個人的かつ強い怨恨(または背徳的な関係のもつれ)を抱いていた顔見知りの可能性が高い。
姉妹探偵の事件考察
【担当】
- 榎本 佳穂(Enomoto Kaho)
- 保科 琳久(Hoshina Rinku)
佳穂: 「1976年の春……。この国の『病巣』が可視化された季節ね。 特に『児玉誉士夫邸特攻事件』は興味深いわ。犯人の前野光保は、俳優という『虚構』を生きる人間だった。彼が最期に選んだのは、映画の撮影ではなく、現実のフィクサーへの自爆攻撃という『究極のリアリティショー』。 彼の行動は、心理学的に言えば『同一化(Identification)』の暴走ね。かつての特攻隊という『聖なるイメージ』と自分を重ね合わせることで、汚れた現実(ポルノ俳優としての劣等感や、腐敗した政治)を一挙に超越しようとした」
琳久: 「うわー……。なんつーか、熱量がエグいね。てかさ、セスナで突っ込むとか映画すぎっしょ! 今のネット社会なら、SNSで『これから突撃しますw』とか投稿して炎上狙うとこだけど、この時代はガチで命燃やしちゃうんだ……。 でもさカホ、結局その児玉って爺さんは無傷だったんでしょ? 命賭けたのに意味なくない?」
佳穂: 「物理的なダメージ(Physical damage)は最小限だったわね。でも、象徴的な意味(Symbolic meaning)では致命傷を与えたとも言えるわ。 『昭和の黒幕』と呼ばれ、誰も手出しできなかったアンタッチャブルな存在が、たった一人の無名俳優によって物理的に攻撃された。これは権威の失墜よ。 テロリズムの本質は『恐怖の伝播』にあるけれど、このケースは『権威の無効化』として機能した。……ま、計算してやったわけじゃなく、単なる破滅願望の爆発でしょうけど」
琳久: 「ふーん。ま、ウチには関係ない世界かなー。 あ、でも『日商岩井』のおっちゃんが窓から落ちたやつ! あれ絶対『他殺(消された)』でしょ!? ハッキングして当時の社内メール……は無いか、テレックス?とか掘り起こせば、黒い指示書が出てきたりしてね〜! キャハッ、昭和の闇データ、激アツじゃん!」
佳穂: 「……琳久。その時代の闇は、デジタル化されていない分、底が見えないのよ。 『物理的な証拠』ごと人間を消すような連中だわ。深入りすると、あなたも東京湾の底で『エラーコード』になるわよ?」
琳久: 「げっ。……カホが言うと冗談に聞こえないからマジ勘弁。チョコ食べて寝るわ!」
免責事項
本記事は、過去の報道や公開資料を基に作成しておりますが、一部に筆者の主観的な推測や解釈が含まれます。事実関係の正確性を完全に保証するものではありません。 また、記事内の「姉妹探偵の事件考察」は、自作小説のキャラクターによるフィクションの演出です。あくまで一つの視点・エンターテインメントとしてお読みください。
関連動画: 1976年 児玉誉士夫邸へのセスナ機自爆事件の映像
この動画は、記事内で取り上げた前野光保による児玉誉士夫邸特攻事件直後の現場を捉えた当時のニュース映像であり、事件の衝撃と生々しい臨場感を伝えています。



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