【深層捜査】首なし死体の点と線 —— 「ヨークシャーの切り裂き魔」ハネムーン説と、消えた「公爵夫人」

深掘り事件簿

1974年8月、ノーフォークの藪の中で発見された「首なし死体」。 被害者の身元がいまだ不明であるこの事件は、単なる未解決事件という枠を超え、英国犯罪史における巨大なパズルの「失われたピース」ではないかと囁かれ続けています。

今回は、この事件を取り巻く3つの不気味な「関連性(リンク)」について深掘りします。 捜査線上に浮かんだのは、港の娼婦、そして英国史上最悪の連続殺人鬼の名前でした。


1. 最有力リンク:「ザ・ダッチェス(公爵夫人)」の消失

最も具体的かつ有力な説は、前回の記事でも触れた「公爵夫人(The Duchess)」と呼ばれる女性との関連です。

  • 港の幽霊: 彼女はノーフォーク州グレート・ヤーマスの港で働く娼婦で、デンマーク出身とされていました。1974年の夏、彼女は突然姿を消し、借りていた部屋には衣類や所持品がそのまま残されていました。
  • 科学捜査との一致: 2008年に行われた遺体の同位体分析では、被害者が「魚介類中心の食生活」を送っていたこと、そして「中央ヨーロッパ(デンマーク含む)の水」を飲んで育ったことが示唆されました。
  • なぜ身元が判明しないのか?: 彼女が「公爵夫人」であるなら、なぜ家族からの捜索願が出ないのでしょうか? 彼女は故郷を捨てて英国に渡ったのか、あるいは家族もまた、彼女の行方を知る術を持たない孤独な境遇だったのかもしれません。

2. 戦慄の仮説:「ヨークシャー・リッパー」ハネムーン説

この事件の不気味さを増幅させているのが、英国史上最悪のシリアルキラー、ピーター・サトクリフ(The Yorkshire Ripper)との関連説です。

  • 空白の期間: サトクリフが公式に「最初の殺人」を犯したのは1975年ですが、彼はそれ以前から女性を襲撃していました。
  • ハネムーンのルート: 元警察官で犯罪研究家のクリス・クラーク氏は、驚くべき説を提唱しています。サトクリフは1974年8月10日に結婚しており、その直後、妻と共にパリへ新婚旅行に出かけています。 その際、フェリーに乗るために英国東部の港(犯行現場付近)を通過した可能性があるというのです。
  • 手口の相違: ただし、サトクリフの典型的な手口は「ハンマーによる撲殺」であり、「死体遺棄後の首切断」や「農業用ロープでの緊縛」とは異なります。警察もこの説を捜査しましたが、決定的な証拠は見つかっていません。 しかし、「もしハネムーンの途中で衝動を抑えられなかったとしたら?」という想像は、底知れぬ恐怖を誘います。

3. 地域に潜む影:未解決の連鎖

ノーフォーク州では、この事件の前後にも若い女性が犠牲になる未解決事件が発生しています。

  • スーザン・ロング事件(1970年): 同じノーフォーク州(アイルシャム)で、18歳の女性がバスを降りた後に絞殺された事件。犯人は捕まっておらず、DNA型は判明しているものの該当者は見つかっていません。
  • ピーター・トービンの影: もう一人の悪名高いシリアルキラー、ピーター・トービン(2000年代に発覚)もまた、70年代にノーフォークで休暇を過ごしていたことが確認されており、捜査対象となりました。

まとめ:彼女は「誰」の犠牲者なのか

「ノーフォークの首なし死体」は、単独の悲劇なのか、それともシリアルキラーによる初期の犯行なのか。

農業用ロープやNCR(ナショナル・キャッシュ・レジスター)のシートといった遺留品は、犯人が農業や流通に関わる地元の人間であることを示唆しているようにも見えます。 しかし、同時期にこの地を通過した「怪物」たちの影も、完全には払拭しきれません。

彼女の首が発見されない限り、あるいは「公爵夫人」の家族が見つからない限り、このパズルは完成しないのかもしれません。


(姉妹探偵のメモ)

【姉の推理メモ】 「『ハネムーンの途中で殺人』なんて、サトクリフならあり得ない話じゃないけど……やっぱり手口が違いすぎるわね。リッパーは破壊衝動がメインだけど、この犯人は『隠蔽』に必死よ。むしろ、港に出入りするトラック運転手や、農業関係者といった『地元の労働者』の中に、突発的に殺してしまった犯人がいる気がするわ」

【妹の呟き】 「結婚式の直後に奥さんと旅行しながら、別の女の人を殺すなんて……そんな人間がいるの? もしそうだとしたら、奥さんは隣に乗っていて何も気づかなかったのかな。想像するだけで気持ち悪くなっちゃう」


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